家畜・家禽に対する遺伝子組換え飼料の給与試験

 農畜産業振興事業団(現、独立行政法人農畜産業振興機構)および農林水産省からの補助を受けて、 平成12年度から6年間にわたって、遺伝子組換え技術により除草剤耐性や害虫抵抗性が付与された トウモロコシおよび大豆(粕)を各種の家畜・家禽に給与した場合の、家畜・家禽の健康状態や生産性への 影響を調査するとともに、遺伝子組換え技術により導入された組換え遺伝子の断片や、 生産されるたん白質の畜産物への移行の有無に関する検討を行った結果をリーフレットにとりまとめました。
 リーフレット

遺伝子組換えトウモロコシevent CBH351(スターリンク)のブロイラー雛における評価

 遺伝子組換え体スターリンクトウモロコシ(event CBH351, SL)のブロイラー雛の発育成績、 健康状態および生理機能に及ぼす影響について、非遺伝子組換え体トウモロコシ(SL-F)と比較するとともに、 SLに含まれているcry9C遺伝子およびCry9Cタンパク質の血液,肝臓および筋肉への移行状況を分析した。 前期(0-3週齢)において、SL区の増体量および飼料要求率はSL-F区より有意にすぐれたが、後期(4-7週齢) および全期間(0-7週齢)では両区間に有意差はなかった。SL区およびSL-F区の健康状態には異常は観察されず、 育成率にも差がなかった。さらに、試験終了時の雛を対象に行った血清生化学的検査および血液学的検査値には、 SL区とSL-F区との間に有意差は認められず、剖検および病理組織学的検査にも異常はみられなかった。3、5および 7週齢に採材したSL区の血液、肝臓および筋肉からはcry9C遺伝子およびCry9Cタンパク質は検出されなかった。 (Animal Science Journal, 73 (3) : 221-228, 2002)
 報告書

遺伝子組換えトウモロコシ給与による泌乳牛〜(略)〜乳汁、血液、肝臓および筋肉への移行

 表示の都合上、上記表題は省略されています。全文は「遺伝子組換えトウモロコシ(event CBH 351 ; 商品名,スターリンク) 給与による泌乳牛の健康状態への影響およびCry9Cタンパク質とcry9C遺伝子の乳汁、血液、肝臓および筋肉への移行」です。

 泌乳牛に対して遺伝子組換え体であるスターリンク(event CBH 351 ; 商品名,スターリンク) 交雑後代種トウモロコシ(SL)を給与した場合の健康状態,生理機能、泌乳成績などに及ぼす影響を、 SLと同質遺伝子型の非遺伝子組換えトウモロコシ(non-SL)を給与した場合と比較した。さらに、 cry9C遺伝子およびCry9Cタンパク質のミルク、血液、肝臓および筋肉への移行を調査した。試験は、 SLを含む飼料を給与するSL群と、non-SLを含む飼料を給与するnon-SL群を設け、 両群にホルスタイン種乳牛を4頭ずつ割り付けて5週間継続給与した。その結果、健康状態、 泌乳量、ルーメン液のpH、プロトゾア数、VFA濃度および組成には、両群間で有意差はみられなかった。 血清生化学的および血液学的検査値についてもSL給与による有意な影響はみられなかった。また、 主要臓器・組織の病理組織学的検査でも、両群間で有意な差は認められなかった。さらに、 試験終了日においてPCR法およびELISA法によりcry9C遺伝子およびCry9Cタンパク質の牛乳、 血液、肝臓および筋肉への移行を調べたが、いずれも検出されなかった。 (Animal Science Journal, 74 (2) : 81−88, 2003)
 報告書